ペットの防災グッズ|同行避難に必要なもの

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「同行避難って、避難所に猫と一緒に入れるってことだよね」。犬を飼っている友人にそう聞かれて、私は即答できませんでした。調べてみたら、答えは「一緒に避難所まで連れて行くこと」までは国の方針で、その先の建物に入れるかどうかは避難所ごとに違う。言葉のイメージと実態が、けっこうずれているんですよね。

私自身は飼っていませんが、実家に猫が1匹いて、防災の話をするたびに「この子はどうするんだ」という話になります。友人からの相談と、実家の事情。その両方で調べたことを順番に書きます。

「同行避難」は「避難所で一緒に過ごせる」という意味ではない

環境省は災害時にペットと一緒に避難する「同行避難」を原則としています。ガイドラインも出ていて、飼い主が責任を持って連れて避難することが前提になっている。ここまでは友人の理解と同じでした。

問題はその先です。同行避難はあくまで「避難場所まで安全に一緒に移動すること」を指す言葉で、人と同じ空間で過ごせることを保証するものではありません。実際の運用では、屋外のテント、駐車場に停めた車、体育館とは別の空き教室といった形で、ペットだけ別スペースに置かれるケースが多いとされています。受け入れそのものを行わない避難所もある。

そして受け入れの可否や条件は、自治体、さらには避難所単位で決まります。同じ市内でも、A小学校は屋外スペースあり、B中学校は不可、ということが普通に起こる。だから調べる先は「国」ではなく「自分が行く予定の避難所」なんです。

友人には、まず市の防災担当課のページで避難所一覧を開いて、ペットの記載があるか見てみたら、と伝えました。記載がなければ電話で聞くしかない。そのとき確認しておく内容は、だいたいこのあたりに絞られます。

  • そもそも犬猫を連れて行っていいのか、行けるとしたらどの場所か
  • ケージやキャリーは飼い主が持参する前提か、貸し出しがあるのか
  • ワクチン接種証明や鑑札の提示を求められるか
  • フードやペットシーツの支給はあるのか(基本はないと考えたほうが早い)

電話で聞くのは面倒ですが、平時にしかできない作業です。地震の夜に「ここ、犬は入れますか」と聞いて断られるのが、いちばん困る。

実家の猫は、キャリーに入るまで40分かかった

去年の暮れに帰省したとき、実家の猫を動物病院に連れて行く場面に立ち会いました。ワクチンの時期で、母が朝からキャリーを出していた。そこからが長かったんです。

キャリーを見た瞬間に猫はベッドの下へ。声をかけても出てこない。母が座布団をどけて手を伸ばすと今度は洗面所へ走る。最終的に洗面所の隅で捕まえてキャリーに押し込むまで、時計を見ていたら40分かかりました。押し込むときも前脚を突っ張って抵抗するので、母の手首に引っかき傷が2本。病院に着く頃には猫も人間もぐったりしていました。

この40分が、そのまま防災の話につながります。家具が倒れて外がざわついている状況で、猫が普段より落ち着いているとは思えない。むしろ物音に驚いて、家中のいちばん狭い隙間に入り込むはずです。そこから40分かけて引っ張り出す余裕が、津波警報の出ている地域にあるかというと、ない。

つまりキャリーやケージは、買った時点では戦力にならないんですよね。普段から部屋の隅に置きっぱなしにして、扉を開けたままおやつを入れ、自分から入る状態を作る。この慣らしができているかで、避難にかかる時間が数十分単位で変わります。道具を1万円分買い足すより、ここが先です。

フードと水は「いつもの味」でないと食べない

人間の非常食は、多少好みでなくても飢えれば食べます。ペットは違う。普段と違うフードには口をつけない個体がかなりの割合でいるというのが、飼い主に聞くとほぼ共通する話でした。実家の猫も、メーカーを変えた月は皿の前で座って母を見上げるだけだったそうです。

だから備蓄は「非常用のペットフード」ではなく、いつも食べているフードを多めに買っておく形になります。買い足しながら古いものから使う、いわゆるローリングストックが、人間よりむしろペット用途に向いている。ドライフードなら未開封で1年前後の賞味期限があるものが多いので、常に1袋余分に置いておくだけで数週間分の余裕ができます。

備蓄の日数について、環境省のガイドラインでは最低5日分、できれば7日分以上が目安として挙げられています。人間の3日分より長いのは、支援物資の中でペット用品の優先順位が下がりやすいからです。水も同様で、体重や種類によって必要量は変わりますが、フードとセットで日数分を確保しておく考え方は同じです。

そして深刻なのが療法食です。腎臓病や食物アレルギーで処方食を食べている子は、代替が効きません。動物病院やペットショップが被災していれば入手も止まる。ここは「手に入らない前提」で多めに持つしかないと思っています。かかりつけの病院が使えなくなったときのために、フードの正式な商品名と、処方している病院の名前をメモしておくだけでも、別の病院で相談するときに話が早くなります。

はぐれる前提で、情報を持っておく

はぐれる原因は逃げ出しだけではありません。倒壊した家から連れ出せずに置いてくる、移動中にパニックを起こして飛び出す、避難所で首輪が抜ける。どれも起こり得ます。

マイクロチップは2022年6月から、販売される犬猫への装着と登録が義務化されました。すでに飼っている場合は努力義務です。実家の猫は義務化より前からいるので入っておらず、母は「今から入れるのはかわいそう」と渋っています。ただ、所有者を証明できる手段が首輪だけというのは心細い。首輪は外れます。

並行してやっておきたいのが写真です。正面と横、そして模様の特徴が写った1枚をスマホに入れておく。飼い主と一緒に写っている写真があると、保護された後の引き渡し時に「自分の飼い猫だ」と説明しやすくなります。私は実家に帰るたびに猫の写真を撮っていますが、これは思い出のためだけではなく、そのまま身元確認の材料になるわけです。クラウドに上げておけば、スマホが水没しても残ります。

ワクチン接種証明も同じ扱いにしておくといい。避難所によっては提示を求められますし、紙の証明書は家に置いたまま避難する可能性が高い。接種証明と鑑札の写真を、フード名や病院の連絡先と一緒に1つのフォルダにまとめる。10分で終わります。

排泄物と鳴き声という、いちばん現実的な問題

避難所での困りごとを調べていくと、道具そのものより「周りとの摩擦」の話が多く出てきます。

まず排泄物。人間の簡易トイレと同じで、処理したものは持ち帰るかゴミとして溜まります。収集が止まっていれば、袋は減らずに増え続ける。猫砂は使うほど重くなるし、犬のシートも1日数枚は出ます。1日3枚として1週間で21枚。消臭袋を想定より多めに持っておく理由がここにあります。

もうひとつが鳴き声です。避難所には動物が苦手な人も、アレルギーがある人も、乳児を寝かせている人もいます。私にも生後半年の子どもがいるので、正直に言えば、夜中に犬が吠え続ける空間で寝かしつけができるかは自信がない。逆の立場だったら申し訳なさで消えたくなると思います。

これも結局は日頃の慣らしに戻る話です。ケージの中で落ち着いていられるか、知らない人がいる場所で過ごせるか。ケージにかける布を1枚持っておくと視界が遮られて落ち着きやすい、という話もよく聞きます。

友人に勧めたセットと、そのとき付けた注釈

ここまで調べたうえで、犬を飼っている友人には既製のペット用防災セットを勧めました。個別に揃えるほうが安く済むのは分かっているんですが、彼は仕事が忙しく、「今週末に揃える」と言って3ヶ月経っている人です。何も持っていない状態が続くくらいなら、まとめて1つ買ったほうがいい。

選んだのは防災士監修の犬猫兼用セットで、価格は14,850円。手持ちとショルダーの2WAYで運べて、生地は防炎・防水・防汚。反射材と蓄光材が付いているので、停電した夜道でも車のライトで存在に気づいてもらえます。QRコード付きの迷子札が同梱されているのも、はぐれたときの手がかりが1つ増えるという点で悪くない。

ペット防災セット 防災士監修のペット用防災セット 犬猫兼用 QRコード迷子札入り 手持ち・ショルダーの2WAY持ち運び 防炎・防水・防汚素材

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ただ、渡すときに注釈を3つ付けました。ひとつめは中身のフードは自分の子が食べるものに入れ替えること。汎用セットに入っているフードは、その子が食べる保証がありません。療法食の子ならなおさら、ここは自分で足すしかない。

ふたつめは、これは持ち出し用の袋であって、普段からの慣らしの代わりにはならないということ。買った時点で安心してしまうのがいちばん危ない。みっつめは、QRの迷子札はサービスへの登録が前提になるので、届いたその日に設定まで終わらせること。開封して「あとでやる」になると、たぶん一生やりません。

14,850円は正直、安くはないです。ケージやキャリーは別に用意する必要もある。それでも、何も持っていない状態から抜け出す初期費用としては許容範囲かなと。彼は買った週末に写真を送ってきて、犬がその袋の匂いを一生懸命嗅いでいました。

最後に

ペットの防災グッズを調べていて分かったのは、道具を揃える話が半分、生活習慣を変える話が半分だということでした。キャリーに慣らす、いつものフードを1袋多く買う、写真を撮ってクラウドに上げる。当日いちばん効くのは、お金のかからないこの3つです。

実家の猫は今年で9歳になります。母は「この子を置いて逃げることはできない」と言っていて、それはそうだろうなと思う。だとすれば、その決断が成立するように準備しておくのが、離れて暮らしている側にできることなんだと思います。次に帰省したら、キャリーの扉を閉めた状態で15分過ごす練習を、一緒にやってみるつもりです。

この記事は防災グッズの個別レビューです。3人家族で実際に揃えたもの全体と買う優先順位は防災グッズ 本当に必要なものリスト|3人家族で実際に揃えた全部にまとめています。

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