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7月の日曜、息子を連れて2時間ほど出かけて帰宅したら、玄関を開けた瞬間に熱気の壁がありました。温湿度計を見たら34.8度。生後6ヶ月の子どもを、この部屋に連れて入りたくない。抱っこ紐から降ろせないまま、エアコンをつけて廊下で10分待ちました。スマートリモコンを導入したのはその翌週です。エアコンは10年近く前の型のまま、買い替えていません。設定でつまずいた場所も含めて、手順を順番に書きます。
エアコンを買い替えなくていい、という点がすべて
最初に仕組みの話をします。スマートリモコンは、要するに赤外線リモコンの信号を代わりに飛ばす機械です。手元のリモコンが出している赤外線のパターンを、Wi-Fi経由でスマホから指示を受けて再生する。
だから、エアコン側は何も対応していなくて構いません。赤外線リモコンで動く機械なら、テレビも照明もサーキュレーターも同じ理屈で操作できます。うちのエアコンは入居時から付いていた備え付けのもので、型番を調べたら8年前のモデルでした。賃貸で勝手にエアコンを買い替えられない家にとって、これは相当に大きい。
私が使っているのは、TP-LinkのTapo H110Cという赤外線スマートハブです。エアコンとテレビの操作に対応していて、チャイム機能も付いているもの。メーカー保証が3年ある点も、こういう常時通電する機器では地味に効きます。
手順1:置き場所を先に決める(ここで一度失敗した)
アプリを開く前に、置き場所を決めてください。私はこれを後回しにして、最初の設置をやり直しています。
赤外線は光と同じで、まっすぐしか進まないし、遮るものがあれば止まります。最初、私は本体をテレビ台の下段、扉の中に置きました。見た目がすっきりするからです。当然、扉を閉めたら何も動かなくなりました。
次にテレビ台の上に出したのですが、今度はエアコンとの間にソファの背もたれが入って、届いたり届かなかったりする。最終的に落ち着いたのが、リビングの本棚の最上段、床から180cmの位置です。高い位置に置くと、エアコンの受光部にも、テレビにも、遮るものなしで直線が引けます。
目安として、本体からエアコンまでの距離は5メートル以内、あいだに家具や人が入らない場所。壁や天井への反射でも届くことはありますが、当てにしないほうがいい。コンセントが近くにあることも条件です。給電が必要なので、置きたい場所に電源がないと詰みます。
手順2:Wi-Fiを確認する(2.4GHzかどうか)
ここが最大の落とし穴です。この種の機器の多くは、2.4GHz帯のWi-Fiにしかつながりません。5GHz帯には対応していない。
最近のルーターは2.4GHzと5GHzを1つのSSIDにまとめる「バンドステアリング」が有効になっていることが多く、うちもそうでした。この状態だとセットアップの途中で接続に失敗します。私はここで20分溶かしました。
対処は、ルーターの管理画面から2.4GHzのSSIDを分離して表示させ、スマホを一時的にそちらに接続してからセットアップする、という手順です。設定が終われば、スマホは5GHzに戻して構いません。ルーターのSSID一覧に「-G」や「-2G」が付いたものがあれば、それが2.4GHzだと思って大丈夫です。
手順3:アプリでの登録と、エアコンの学習
ここからは実際の流れです。所要時間は、Wi-Fiでつまずかなければ15分ほど。
まずメーカー純正のアプリをインストールしてアカウントを作ります。本体にUSB電源をつないでランプが点滅したら、アプリの「デバイスを追加」から機種を選ぶ。Bluetoothで本体を見つけて、そこからさきほどの2.4GHz Wi-Fiのパスワードを入力して接続完了。
次がエアコンの登録です。ここは自分でリモコンの信号を1つずつ覚えさせる必要はありません。アプリにメーカーのプリセットが入っているので、「エアコン」→メーカー名を選ぶと、候補の信号パターンが順番に出てきます。「この信号でエアコンは反応しましたか」と聞かれるので、実際にエアコンに向けて送信してみて、反応したら「はい」。
うちは3番目の候補で当たりました。設定温度の表示まで正しく連動するかを、この時点で確認しておくのがコツです。電源は入るけれど温度設定が反映されないパターンがあって、その場合は次の候補を試したほうがいい。私は最初に当たった候補で満足して進めてしまい、あとで温度が変えられないことに気づいて登録し直しました。
テレビと照明も同じ手順で登録できます。うちはエアコンとテレビ、それとリビングのシーリングライトの3つを登録しました。
手順4:温湿度センサーと連動させて自動化する
手動でスマホから操作できるようになったら、次は自動化です。ここまでやって初めて、この機械の本当の価値が出ます。
温湿度の情報をどう取るかは機種によって違って、本体に温湿度センサーを内蔵しているタイプと、別売のセンサーを追加して連携させるタイプがあります。買う前に、どちらなのかを確認しておいてください。うちは寝室用に別途センサーを1つ足しました。
組んだルールは3つです。1つ目、リビングの室温が30度を超えたら冷房を26度で入れる。2つ目、湿度が70%を超えたら除湿に切り替える。3つ目、深夜2時にリビングのエアコンを切る。
特に効いているのが1つ目です。外出中でも、部屋が30度に達した時点で勝手に冷房が入る。帰宅時に34.8度という状況が構造的に起きなくなりました。実際に測ってみたら、この設定で帰宅した日のリビングは27.2度。玄関を開けたときの感触がまるで違います。
電気代を心配していたのですが、うちの場合は月900円ほどの増加で収まりました。34度の部屋を26度まで下げるのと、30度をキープするのでは、エアコンの負荷がまるで違うからだと思っています。ここは各家庭の断熱と設定次第なので、必ず自分で1ヶ月分を見比べてください。
手順5:外出先から使うときの現実的な注意点
スマホから操作する場合、家のWi-Fiとインターネット回線が生きていることが絶対条件です。ルーターが再起動中だったり、回線が落ちていたりすると、外からは何もできません。
そして、これがいちばん理解しておくべき点なのですが、スマートリモコンはエアコンが今どうなっているかを知りません。赤外線を一方的に送っているだけで、エアコンからの応答は受け取っていない。だからアプリの画面が「冷房26度」になっていても、実際のエアコンが本当にそうなっているという保証はないんです。
これが問題になる場面が実際にありました。誰かが手元のリモコンでエアコンを消したあと、アプリから「電源オン」を送ると、機種によっては信号が「電源のトグル」ではなく「オンの状態を送る」形なので想定どおりに動きます。ただ逆のパターン、つまりアプリ側は「オフ」と思っているのに実機は動いているという状態が起きると、自動化のルールが噛み合わなくなる。うちは一度、外出中にエアコンがつけっぱなしになっていることに気づかず、6時間動かし続けました。
対策として、外出先から確認したいなら室温センサーの値を見るのが確実です。「エアコンの状態」ではなく「部屋の温度」を信じる。温度が下がっていれば動いているし、上がっていれば動いていない。この見方に切り替えてから、余計な心配がなくなりました。
最後に
3,000〜5,000円の機械で、8年前のエアコンが外から操作できるようになる。費用対効果という意味では、うちが今年買ったものの中で断トツでした。エアコンの買い替えは10万円を超えるので、桁が2つ違います。
つまずくとしたら、ほぼ間違いなく2.4GHzのWi-Fiと、赤外線の設置場所の2つです。逆に言えば、この2つさえ先に片付けておけば、残りの設定は15分で終わります。真夏に子どもを抱えて熱い部屋のドアを開ける、あの数分がなくなっただけで、私は元を取ったと思っています。
この記事は時短家電の個別レビューです。どの家電から買うべきかの優先順位は共働き家庭の時短家電|投資して後悔しなかった順に並べるにまとめています。

