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アルミブランケットは、持っているだけでは何の役にも立たない。これは実際に開いてみて分かったことです。
我が家の防災リュックには、4年前に買った防災セットの付属品として銀色の袋が1枚入っていました。「エマージェンシーシート」と書かれた、手のひらサイズのぺったんこな袋。中身がアルミの薄いシートだということは知っていました。でも、一度も開けたことがなかった。開けたら元に戻らなくなりそうだったからです。
結論から書くと、その予感は当たっていました。そして開けてみて初めて、この道具は使い方を知らないと本番でまず使えないということが分かりました。巻いただけでは暖かくならないし、音がうるさいし、床の冷たさには何の効果もない。この記事は、実際に開いて体に巻いて、庭とベランダで一晩相当を試した記録です。
4年間、袋のまま入れっぱなしだった
私がアルミブランケットを持っていた期間は約4年です。そのうち袋を開けていた時間は、この記事のために試した2時間だけ。残りの3年11ヶ月と数日は、リュックの底で銀色のまま眠っていました。
言い訳をすると、防災グッズの中でこれは優先順位が低く見えるんですよね。水や簡易トイレは「何日分いるか」を計算する必要があるけど、アルミブランケットは1枚あればそれで終わりに見える。値段も安い。だから点検のときも、あることだけ確認して閉じていました。
ただ、子どもが生まれて防災リュックを組み直したときに、妻から「これ、寒いときにどうやって使うの?」と聞かれて答えられなかった。赤ちゃんに使う場面を具体的に想像したら、何ひとつ手順が浮かばなかったんです。袋のどこを破るのか、広げるのに何秒かかるのか、赤ちゃんにかぶせていいものなのか。全部知らなかった。
一度開いたら、二度と元の大きさには畳めない
まず袋を開けました。中身は畳まれたアルミ蒸着のシートで、広げると210cm×130cmくらい。大人がすっぽり包まれるサイズです。厚みはラップより少し厚い程度で、重さは60g前後。持ち上げても重さを感じません。
問題はここからです。広げたシートを畳み直そうとしたら、まったく元の大きさに戻らなかった。
工場で圧縮して畳まれているので、手で畳んでも空気を含んでふくらむんです。10分かけて丁寧に折り目を合わせて畳み直しましたが、元の袋には入りませんでした。厚みで言うと2倍から3倍くらい。最終的にはジップ袋に押し込んで、元の手のひらサイズより一回り大きい状態でリュックに戻しています。
これ、地味に重要だと思っていて。「試しに一度開いてみましょう」と気軽に書けない理由がここにあります。練習で開けた1枚は、備蓄には戻らないと考えたほうがいい。だから練習用と本番用は分けて持つ必要があるし、そのためには最低でも2枚以上が要る。1枚しか持っていないと「使い方を試すか、備えたままにするか」の二択になってしまいます。
ついでに書くと、シートそのものはかなり破れやすいです。畳み直しているときに爪が引っかかって、5cmほど裂けました。強く引っ張るような使い方には向いていません。
カサカサ音が、想像していた3倍うるさい
体に巻いて最初に驚いたのは、暖かさではなく音です。
身じろぎするたびに、耳のすぐ横でガサガサ、シャリシャリと鳴る。寝返りを打つと、家族が別の部屋にいても聞こえるレベルの音が出ます。ラッピングに使う薄いフィルムを、そのまま全身にまとっていると思ってもらえば近いです。実際、夜中に試したときに妻から「うるさくて眠れない」と言われました。自宅のリビングで、私一人が使っただけで、です。
ここで想像したのが避難所です。体育館に数十人が寝ている状況で、これを全員が使ったらどうなるか。誰かが寝返りを打つたびに音が鳴り続けることになります。自分が眠れないのはまだしも、隣の人の睡眠を奪うのはかなりまずい。体調を崩している人や、乳児を寝かしつけている人が近くにいたら最悪です。
調べてみて、静音タイプが存在する理由がようやく腑に落ちました。素材や表面加工を変えてカサカサ音を抑えたものが売られていて、価格差もそこまで大きくない。避難所や車中泊のように、他人と同じ空間で夜を越す可能性を考えるなら、静音と書かれているものを選ぶべきだと思います。逆に、自宅や屋外で一人で使う前提なら普通のもので構いません。
巻いただけでは暖かくならない。体温を反射しているだけだから
もうひとつ、試して初めて理解したことがあります。アルミブランケットは発熱しません。当たり前と言われそうですが、私はどこかで「巻けば暖かくなる道具」だと思っていました。
仕組みとしては、体から出ていく熱(放射熱)をアルミ面で跳ね返して、体のほうに戻しているだけです。一般的に、体から逃げる熱のうち放射によるものは相当な割合を占めるとされていて、そこを遮るから体温が保たれる。つまり元手になる体温がないと、返す熱もないということです。
これは実感としてもはっきりしました。暖かい部屋から出て、体が温まっている状態で巻くと、5分ほどで内側にじんわり熱がこもります。汗をかくくらいです。ところがベランダで15分ほど冷えてから巻き直すと、同じシートなのに全然温まらない。体が冷え切ってからでは効果が薄いんです。
だから使うタイミングが重要になります。「寒くなったら使う」ではなく「寒くなる前に使う」。停電した瞬間、屋外に出た瞬間、まだ体が温かいうちに巻く。震えが始まってからでは遅い、というのがこの道具の性格です。
それと、内側に湿気がかなりこもります。通気性がゼロなので、汗をかくと蒸れて、その汗が冷えると逆に体温を奪います。ずっと密閉せず、首元や足元を少し開けて調整するのが現実的でした。
床の冷たさには勝てない。むしろ敷いたほうが効く場面がある
体に巻いた状態でフローリングに横になったら、上半身は温かいのに背中だけずっと冷たい、という妙な状態になりました。
床に接している部分は、熱が接触で直接逃げていきます。放射熱を跳ね返す仕組みは、ここでは効きません。冬の体育館の床や、車中泊の座席、地面の上。こういう場所では底冷えのほうが体温を奪ってきます。上に何を巻くかより、下に何を敷くかのほうが効く場面は確実にあります。
そこで試したのが、体に巻かずに床に敷くという使い方です。アルミ面を上にして敷き、その上に段ボールや銀マットを重ねると、背中の冷たさがかなり違いました。理想を言えば厚みのあるマットが要りますが、それがない状況では、アルミシートを1枚挟むだけでも違いは出ます。段ボールが手に入るなら、段ボール+アルミシートの組み合わせが一番効きました。
用途は他にもあって、実際に試した範囲だとこのあたりです。
- 雨よけ:完全防水なので、頭からかぶれば小雨は防げる。ただし風で煽られる
- 目隠し:着替えや授乳のときに人の視線を遮る。避難所では地味に効く
- 風よけ:テントやベビーカーの風上側に張ると体感が変わる
1枚を体に巻いて終わりにするより、敷く用・かぶる用・仕切り用と複数枚を役割分担させたほうが、明らかに使い勝手がよかったです。
1枚200円なら、家族の人数より多く持っておく
ここまで書いてきた欠点を並べると微妙な道具に見えますが、私の結論は逆で、枚数を増やすことで欠点のほとんどが消えるというものでした。畳み直せないなら開いた分を消耗品として割り切ればいいし、敷く用と巻く用が別に要るなら人数分では足りない。要は1人1枚という前提が間違っていたんです。
我が家が買い足したのは、楽天で売っている大きめのサバイバルシート5枚セットです。1,001円で送料無料、1枚あたり約200円。3人家族に対して5枚なので、単純計算で1人1.6枚。これで練習用に1枚開いても気になりません。実際、この記事のために2枚開きました。
不満点も書いておきます。まず、この価格帯のものは静音仕様ではありません。前に書いたとおり音はしっかり鳴ります。避難所での使用を強く意識するなら、Amazonで売っている静音タイプのアルミブランケットを別に確保しておくほうがいいと思います。50枚セットのような業務用単位のものもあって、町内会やマンションの管理組合単位で持つならそういう選択肢もあります。
それから、袋から出したときのシートの折り目がかなり強く、最初の展開に思ったより手間取りました。暗闇で、手袋をした状態で、慌てながら広げるのは相当きついはずです。だから一度は明るいところで開いておく価値がある。そのための1枚だと思えば、200円は安いです。
最後に
4年間持っていて、使い方を知らなかった。この事実がいちばんこたえました。防災グッズには、買った時点で完了するものと、買ってから練習しないと完了しないものがあります。アルミブランケットは明らかに後者でした。
覚えておくことは多くありません。体が冷える前に巻く。床には別に敷く。音が出るので周りに配慮する。人数より多めに持つ。この4つだけです。
数百円の銀色のシートが、寒い夜に体温を保つかどうかを分けることがある。その可能性があるなら、一度開いて、実際に巻いてみる時間を作る価値はあると思います。開いた1枚は戻らないけれど、その代わりに使い方が手に残ります。
この記事は防災グッズの個別レビューです。3人家族で実際に揃えたもの全体と買う優先順位は防災グッズ 本当に必要なものリスト|3人家族で実際に揃えた全部にまとめています。

